英単語日記

今日覚えた単語の備忘録。

"cut the mustard" の意味がわかりません。

John Updikeの”Rabbit Redux”からの引用です。

”... They can't cut the mustard and never could. This country should have taken whosever advice it was, George Washington if memory serves, one of the founding fathers, and shipped 'em back to Africa when we had a chance.”

「あいつらは人並みのことができないし、できたこともない。この国は誰だったかのアドバイスを聞くべきだった。記憶が正しければジョージ・ワシントンだったかな。建国者の一人だ。チャンスがあった時にあいつらをアフリカに船で送り返すべきだったんだ」

 

”cut the mustard” = 「人並みのことができる(期待通りのことができる、基準に達することができる)」

 

イギリス英語の学習辞書ロングマンのサイトでは"cut the mustard"は以下のように説明されています。

www.ldoceonline.com

"(informal) to be good enough to do something"

「何かをするのには十分」

 

同じくイギリス英語の学習辞書Oxford Learner's Dictionaryのサイトでは以下のように説明されています。

www.oxfordlearnersdictionaries.com

"to be as good as expected or required"

「期待されるまたは必要とされる程度には十分」

 

そして、John Updikeはアメリカ人作家なのですがアメリカ英語の辞書Merriam-Websterのサイトでは以下のように説明されています。

www.merriam-webster.com

”to achieve the standard of performance necessary for success”

「成功するために必要な最低限の仕事を成し遂げること」

 

Oxford University Pressによるイギリス英語の辞書サイトLexicoでは以下のように説明されています。

www.lexico.com

"come up to expectations; reach the required standard"

「期待に添える。必要とされる基準を満たす」

この定義がググると検索結果の一番上に来ます。

 

どうして「マスタードを切る」ことが「人並みのことができる又は一人前のことができる」の意味を持つようになったかというと諸説あるようです。

まずWikitionaryによる由来の説明です。

en.wiktionary.org

wikitionaryでは2つの由来が説明されています。

一つ目はおそらくスパイスとしてのマスタードほどの最高の刺激の強さに例えたことからと説明しています。二つ目は”pass muster”という熟語と響きが似ていることからと説明しています。"pass muster"とは兵士を点呼のために整列させることを意味します。例えば、部屋の点呼で優秀とみなされた兵士は召集や隊列行進などを"cut(免除)"されます。余談ですが軍隊の点呼といえば、映画「愛と青春の旅立ち」でリチャード・ギアが部屋の点呼でズルがバレて教官にしごかれるシーンなんかを思い出します。二つ目の由来は裏付ける証拠が乏しいようです。

 

英語に関するブログGrrammarphobiaでは詳しく説明されていました。

こちらのブログによると"to be mustard"という表現は人に対して使われた時"hot stuff(優れもの)"と同じような意味だそうです。例えば"That fellow is mustard."は「あの人物は優れた人物だ」という意味です。辛いスパイスのマスタードと”hot(辛い、転じて優れもの)”という二つの言葉を掛け合わせています。"cut"の由来ははっきりしませんが、このブログでは”cut the mustard”の"cut"がどこから来たかを推測しています。

OEDによると"cut the mustard"という表現が使われるようになる前は"cut"には”excel(秀でている)”または"outdo(勝る)"という意味がありました。1884年のイギリスのスポーツ新聞The Refereeからの例文をあげています。"George's performance ... is hardly likely to be disturbed for a long time to come, unless he cuts it himself."「ジョージの成績はしばらくの間脅かされることはほとんどないだろう。自分で自分を超えない限り」つまり、”cut the mustard”は”mustard(優れもの)”よりもさらに”cut”優れているというのが元々の意味で、それが転じて今の「一人前のことができる"cut the mustard"」の用法になったのではないかとこのブログで推測しています。

 

www.italki.com

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